二度目での成功
二度目はそれから約一年後に実行しました。季節は五月ごろのことでした。行程は同じですが、装備はできる限り少なく軽量化し、足元もスニーカーに変更しました。スニーカーについては、当時の私としては高価だったパトリックというメーカーのものにしました。このメーカーの靴は軽いうえに丈夫で足にかかる負担が少ないのが特徴です。また、今度はポータブルCDプレイヤー(音が“飛ばない”機能の付いたもの)とお気に入りのCDも用意しました。前回の教訓を活かした挑戦でした。
また、二度目であったことからペース配分もしやすくなりました。休憩するポイントや野宿できる場所などがあらかじめ分かっていると、気分的にかなり楽になりました。もちろん前回の挑戦で達した地点以降の道のりについては分かりませんでしたが、“道中の過ごし方”ともいうべきものが身に付いていたので問題ありませんでした。
そして、二回目の挑戦が成功したもっとも大きな理由だと感じたのは、歩く時間帯でした。
前回は日中歩き続けて日が沈んだら休むという形でしたが、五月とはいえ山中は気温の差も大きく、そのことで体力を消耗しやすくなっているような気がしていました。そこで二回目では主に日が沈んでから歩くことにしたのです。試みは見事成功しました。
当たり前のことですが、夜は明けるまで真っ暗で時間の経過を感じにくくなります。長距離を歩くにあたっては一時間あたりに何㎞進めたかということは重要ですが、何時までに何処そこに着いたということは(私の場合は)あまり重要ではないので、無駄に時の流れを感じることは疲労感や焦りにつながってしまうからです。また、気温に関しても夜の方が寒暖差が少なくて、それによる体力の消耗も少ないようでした。
こうした理由によって二度目の挑戦は成功したのです。しかも事前にトレーニングを積んだという訳でもないのに、実感としてはずいぶん楽にやり遂げることができたのでした。